再生の芽
 私のように「窮地に至った企業を再び生かす」事に専念する仕事をしていますと、私自身がその企業になりきってしまう時があります。企業自身と言いますか、企業が今何をして欲しいと望んでいるか、が判るようになります。
 この様な心境になりますと、再生中の企業の経営者から「自分はこの様に思う・・・」と言われても、私には何の意味も無い様にしか受け取れない事があります。なぜならば、企業自体はそのようなことを望んではいないからです。
 私が企業側とコンサルティング契約をする際に、その企業の社長さんに必ず申し上げる言葉があります。
「私は社長さんを助けるためにお手伝いするのではありません。
この企業自体を助けるために努力します。
この企業が良くなった結果、社長さんが助かることになりますが、これは私の目的ではありません。この事をご了解下さった上で契約させていただきます」
と言うことにしています。
 「うん? コンサルタントとは、自分を助けてくれるのではないのか?」と言っておられるどこかの社長さんの声が聞こえるようです。
 さて、企業が窮地に陥る原因は、売上が伸びないからとか景気が悪いからとか外部にあるかのように言われますが、これが根本的な原因ではありません。
 自分の企業が置かれている状況変化を予測して対策を取らなかった経営者自身の考え方や環境変化への企業対応力不足、つまり内部能力にその原因が多いのです。
 時代環境の変化と共に顧客ニーズが変わってきます。当然ながらそれに対応した経営資源を組み替えていかなければならないのに、経営者はこの事に気づかず、旧態依然とした「唯セールスをすればよい」とした経営は、やがて没落していくのです。
 経営者のこの間違った考え方や仕事の進め方をそのままにして、部分的な改善やリストラを進めても、成果は極めて低いものです。
 経営者の今までの考え方や経営の仕方を大胆に変える(変身する)勇気と決断が早ければ早いほど、企業が再生し変革していく速度は比例的に早まります。
 中小企業の特性として、経営者の経営姿勢がそのまま業績に反映されることが多いからです。
(森井記/2006.09)


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